曲名によく使われる音楽用語

< お薦めの曲

曲名によく使われる音楽用語を選んでみました。
ソナタやエチュードなどは曲名として良く使われていますが、それぞれに意味があります。
曲選びの際にも役立ちますので、ぜひ読んでみてください。

ポルカ

《 形式・様式 》

最初は曲の様式や形式がそのまま曲名になっていたり、曲名の中に使われていたりするパターンです。

カノン

複数の声部が同じ旋律を異なる時点からそれぞれ開始して演奏する、楽曲の様式です。
ポリフォニーの典型で、日本語では『輪唱』と訳されます。
ルネサンス時代には、この様式による曲が多く作曲されました。
『パッヘルベルのカノン』が有名ですね。

フーガ

イタリア語で『逃走』の意味で、各声部が同じ主題をもとに順に「追走」する事を特徴とする楽曲の形式です。
主題以外の旋律に自由が許されている点において、声部間の厳格な模倣が最後まで続くカノンとは区別されます。
バッハはフーガによる曲を多数残しています。

ロンド

日本語では『輪舞曲』とか『回旋曲』と表現され、異なる旋律を挟みながら、同じ旋律(ロンド主題)を何度も繰り返す楽曲の形式です。
「ABA C ABA」のような形式で曲が構成されるの特徴です。

ソナタ

イタリア語の『sonare 演奏されるもの』を語源とする楽曲の形式です。
ソナタは複数楽章(3楽章や4楽章)で構成され、第1楽章はソナタ形式で、最終楽章はロンド形式とする事が多いようです。

ソナチネ

演奏しやすい短いソナタのことです。
ソナタと同様に第1楽章がソナタ形式で、2楽章もしくは3楽章で終わることが多いです。
中級程度の演奏技術を要するソナタやソナチネを集めた、ソナチネアルバムが出版されています。

ショパン

《 性格的小品 》

性格的小品というロマン派前後の時代に良く用いられた曲名です。

エチュード

フランス語の『練習曲』の意味で、楽器や歌の演奏技巧を修得するための楽曲です。
技巧の習得のためだけでなく、音楽作品として充実した内容を持つものが多数あります。
演奏会で演奏、鑑賞できるような充実した音楽的内容をもつものは「演奏会用練習曲」と呼ばれ、ショパンのエチュードやリストの超絶技巧練習曲などが有名です。

スケルツォ

イタリア語の『戯れるように』の意味です。
ユーモラスで快活な、おどけた感じの曲を表します。
楽曲の性格を現す語であり、特定の形式や拍子テンポに束縛されませんが、一般的に3拍子で速めのテンポを持つものが多いです。

ノクターン

日本語では夜想曲と呼ばれ、夜の情緒を表す叙情的な楽曲です。
語源はラテン語で『夜の』を意味する形容詞 nocturnus です。
主にピアノ独奏曲ですが、ドビュッシーの管弦楽曲やボロディンの弦楽四重奏曲などもあります。

バラード

バラードの起源は、12世紀の北フランスで吟遊詩人により歌われた声楽曲や、14世紀から15世紀にフランスで作られた詩に由来します。
これをショパンが器楽曲の曲名に用いました。
音楽が物語り風に展開されているのが特徴であり、形式には捉われません。

プレリュード

フランス語の『前奏曲』の意味で、より規模の大きい楽曲の前に演奏する楽曲です。
本来はリュートや鍵盤楽器によって即興により演奏されるもので、後に書きとどめられるようになり、しばしば演奏技巧を発揮するような曲として、また即興的で自由な作風の作品として、作曲されました。

ポルカ

《 舞曲 》

舞曲に用いられるキーワードです。
前述の性格的小品に含まれるものもあります。

パヴァーヌ

16世紀のヨーロッパに普及した行列舞踏です。
荘重な二拍子で列を作って踊ります。
ラヴェルの『亡き王女のためのパヴァーヌ』が良く知られています。

メヌエット

17世紀後半から18世紀にかけて流行した、フランス発祥の宮廷舞曲です。
小股でステップを踏むために、フランス語の『menu 小さい』が語源となりました。
基本的に4分の3拍子で、穏やかな性格の音楽です。
ビゼーの『アルルの女』の中の『メヌエット』が有名ですね。

ポルカ

1830年頃に生まれたチェコの民俗舞曲です。
速いテンポ、弾んだステップ、二拍子で短短長(♪♪♩)のリズムが特徴です。
19世紀前半にワルツやマズルカと並んで舞踏会で重要な役割を果たすようになりました。
ヨハン・シュトラウス2世は160曲以上のポルカを残しています。

ポロネーズ

フランス語の『ポーランド風』の意味で、16世紀後半にポーランド王国の宮廷で行われた貴族の行進から始まった舞曲です。
ゆったりした4分の3拍子で、第1拍が16分音符で細分されているのが特徴です。
ヨーロッパ各国の宮廷に取り入れられて広まり、民衆の音楽であるマズルカに対して宮廷の音楽とされています。
ショパンの『ポロネーズ第6番』(英雄ポロネーズ)がよく知られています。

マズルカ

16世紀にポーランド貴族の間で流行した民族舞踊、舞曲です。
4分の3拍子を基本とし、第2拍もしくは第3拍にアクセントが置かれるリズムが特徴です。
元々はポーランド民謡の歌がつき、バグパイプの伴奏で踊ったりしました。

ワルツ

13世紀頃から西オーストリアおよび南ドイツで農民が踊っていたダンスから成立した舞曲およびダンスです。
日本語では円舞曲と言います。
テンポの良い淡々とした舞曲で、3拍子が特徴です。
特にヨハン・シュトラウス親子のウィンナ・ワルツが人気を博しました。