Am Meer
海辺にて

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『Am Meer 海辺にて』は1829年に発表されたフランツ シューベルトの歌曲集『Schwanengesang 白鳥の歌』(D. 957)の第12曲です。

歌曲集『白鳥の歌』はシューベルトの死後に、彼が晩年に書いた作品をまとめて出版された曲集です。
『美しき水車小屋の娘』や『冬の旅』などとは異なり、複数の作詞家の作品を集めて曲集にしているのもこのためでしょう。
14曲の編成は、最初にルートヴィヒ・レルシュタープ作詞による7曲、続いてハインリヒ・ハイネ作詞による6曲、最後にヨハン・ガブリエル・ザイドルによる1曲となります。
このため『白鳥の歌』という曲集のタイトルもシューベルト本人ではなく、出版者のトビアス・ハスリンガーにより付けられました。

『海辺にて』を含むハインリヒ・ハイネ作詞の6曲は、1826年に出版されたのハイネの最初の主要な詩集『歌の本』に掲載された詩に拠ります。
歌詞は、恋人が海に近い漁師小屋のそばで静かに会い、彼女の瞳から流れ落ちた涙が彼を苦しめたと語ります。

作曲

作曲者はオーストリアの作曲家フランツ・ペーター・シューベルト(Franz Peter Schubert, 1797–1828)です。
『歌曲の王』と呼ばれるシューベルトは、数多くの美しい歌曲を残してます。

作詞

作詞者はドイツの詩人、作家、文芸評論家であったハインリヒ・ハイネ(Christian Johann Heinrich Heine, 1797–1856)です。
彼の作品にはシューベルト、シューマン、メンデルスゾーンなどの多くの作曲家がメロディーを付けて、歌曲として発表しています。

歌詞(ドイツ語)

Das Meer erglänzte weit hinaus
Im letzten Abendscheine;
Wir sassen am einsamen Fischerhaus,
Wir sassen stumm und alleine.

Der Nebel stieg, das Wasser schwoll,
Die Möwe flog hin und wieder;
Aus deinen Augen liebevoll
Fielen die Tränen nieder.

Ich sah sie fallen auf deine Hand,
Und bin aufs Knie gesunken;
Ich hab’ von deiner weissen Hand
Die Tränen fortgetrunken.

Seit jener Stunde verzehrt sich mein Leib,
Die Seele stirbt vor Sehnen; –
Mich hat das unglücksel’ge Weib
Vergiftet mit ihren Tränen.

管理人コメント

曲は淡々と、静かに、沁み込むようにして進みます。
さすがにシューベルトと感じ入る名曲です。

YouTube 動画

Christoph Prégardien による演奏です。