Ständchen
シューベルトのセレナーデ

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『Ständchen セレナーデ』は1829年に発表されたフランツ シューベルトの歌曲集『Schwanengesang 白鳥の歌』(D. 957)の第4曲で『シューベルトのセレナーデ』としても知られています。

歌曲集『白鳥の歌』はシューベルトの死後に、彼が晩年に書いた作品をまとめて出版された曲集です。
『美しき水車小屋の娘』や『冬の旅』などとは異なり、複数の作詞家の作品を集めて曲集にしているのもこのためでしょう。
14曲の編成は、最初にルートヴィヒ・レルシュタープ作詞による7曲、続いてハインリヒ・ハイネ作詞による6曲、最後にヨハン・ガブリエル・ザイドルによる1曲となります。
このため『白鳥の歌』という曲集のタイトルもシューベルト本人ではなく、出版者のトビアス・ハスリンガーにより付けられました。
『セレナーデ』を含むレルシュタープ作詞の7曲は、1825年にレルシュタープからルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンに託されたのですが、1827年にベートーヴェンは他界してしまい、ベートーヴェンの助手アントン・シンドラーによってシューベルトに渡されました。

第4曲の『セレナーデ』ですが、セレナーデ(小夜曲)は音楽的なジャンルの一つで、恋人や友人や高位の人物などに対して敬意を表して捧げられる、静かで心地よい夜に演奏される夕べの曲とされていて、典型的には恋人が窓越しに愛する女性に捧げるというシーンが思い浮かびます。
恋人に対する切々たる思いを、マンドリンを模した伴奏の上に歌いあげます。

作曲

作曲者はオーストリアの作曲家フランツ・ペーター・シューベルト(Franz Peter Schubert, 1797–1828)です。
『歌曲の王』と呼ばれるシューベルトは、数多くの美しい歌曲を残してます。

作詞

作詞者はドイツの詩人、音楽評論家であったルートヴィヒ・レルシュタープ(Heinrich Friedrich Ludwig Rellstab, 1799–1860)です。

歌詞(ドイツ語)

Leise flehen meine Lieder
Durch die Nacht zu dir,
In den stillen Hain hernieder,
Liebchen, komm zu mir.

Flüsternd schlanke Wipfel rauschen
In des Mondes Licht,
Des Verräters feindlich Lauschen
Fürchte, Holde, nicht.

Hörst die Nachtigallen schlagen?
Ach, sie flehen dich,
Mit der Töne süßen Klagen
Flehen sie für mich.

Sie verstehn des Busens Sehnen,
Kennen Liebesschmerz,
Rühren mit den Silbertönen
Jedes weiche Herz.

Lass auch dir die Brust bewegen,
Liebchen, höre mich!
Bebend harr ich dir entgegen,
Komm, beglücke mich.

管理人コメント

甘くとろけるような名曲ですね。
シューベルトの数ある歌曲の中でも、特に有名な一曲と言っていいと思います。

YouTube 動画

Julian Prégardien の演奏です。