Liebestod
愛の死
≪Mild und Leise≫

< オペラのアリア

写真

『Liebestod 愛の死』は1865年に初演されたリヒャルト・ワーグナーのオペラ『Tristan und Isolde トリスタンとイゾルデ』の中のアリアです。

オペラ『トリスタンとイゾルデ』

ゴットフリート・フォン・シュトラスブルクにより12世紀に書かれた中世ロマンス『トリスタンとイゾルデ』を大まかに基にした物語です。
アイルランドの王女イゾルデはコーンウォールのマルケ王に嫁ぐため、船でコーンウォールへと向かっています。
船の舵を取るのはマルケ王の甥であるコーンウォールの騎士トリスタンです。
彼はイゾルデの許婚を決闘で倒した仇ですが、深く傷を負ったトリスタンをイゾルデが手当てをして命を救いました。
互いに惹かれあうようになりながらも、イゾルデはトリスタンを毒殺しようとして、誤って二人で媚薬を飲んでしまいます。

アリア『愛の死』

王妃になったイゾルデとトリスタンは、王が狩りで留守になった隙を狙って密会します。
しかし、これは王の家臣メーロトが仕組んだ罠で、戻ってきた王が密会の場に現われて、トリスタンはメーロトの剣に自らの身を投じて重傷を負います。
第三幕 ブルターニュの城、イゾルデの腕の中でトリスタンは息絶え、イゾルデは『愛の死』を歌います。

作曲

作曲者はドイツの作曲家、演出家、随筆家、指揮者のリヒャルト・ワーグナー(Wilhelm Richard Wagner, 1813–1883)です。
彼は主にオペラ作品でその名を知られ、作曲だけでなく、ほとんどの台本を彼が単独で執筆しました。
またレチタティーヴォやアリアなどが独立して演奏されてきた従来のオペラを、途切れのない一つの音楽作品へと発展させ、詩的、視覚的、音楽的、そして劇的芸術を統合し、音楽をドラマに従属させるという独自の「総合芸術作品」構想によってオペラに革命をもたらしました。

台本

台本もリヒャルト・ワーグナーにより書かれました。

歌詞(ドイツ語)

Mild und leise
wie er lächelt,
wie das Auge
hold er öffnet ---
Seht ihr's, Freunde?
Seht ihr's nicht?
Immer lichter
wie er leuchtet,
stern-umstrahlet
hoch sich hebt?
Seht ihr's nicht?
Wie das Herz ihm
mutig schwillt,
voll und hehr
im Busen ihm quillt?
Wie den Lippen,
wonnig mild,
süßer Atem
sanft entweht ---
Freunde! Seht!
Fühlt und seht ihr's nicht?
Hör ich nur diese Weise,
die so wundervoll und leise,
Wonne klagend,
alles sagend,
mild versöhnend
aus ihm tönend,
in mich dringet,
auf sich schwinget,
hold erhallend
um mich klinget?
Heller schallend,
mich umwallend ---
Sind es Wellen
sanfter Lüfte?
Sind es Wogen
wonniger Düfte?
Wie sie schwellen,
mich umrauschen,
soll ich atmen,
soll ich lauschen?
Soll ich schlürfen,
untertauchen?
Süß in Düften
mich verhauchen?
In dem wogenden Schwall,
in dem tönenden Schall,
in des Welt-Atems wehendem All ---
ertrinken,
versinken ---
unbewußt ---
höchste Lust!

管理人コメント

まずまずに長いアリアなんですが、波が繰り返し訪れては聴く者を包み込みそして陶酔へと誘う、とても魅力的な歌です。
この音楽の世界に、一度浸ってみるのも良いですね。

YouTube 動画

Nina Stemme の演奏です。