Mein Herr Marquis
私の侯爵様

< オペラのアリア

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『Mein Herr Marquis 私の侯爵様』は1874年に初演されたヨハン・シュトラウス2世のオペレッタ『Die Fledermaus こうもり』の中のアリアです。

オペレッタ『こうもり』

役人侮辱罪で懲役8日間の判決を受けた銀行家のアイゼンシュタインが、友人のファルケ博士から誘われて刑務所行きを1日延ばして、変装して舞踏会へと向かいます。
アイゼンシュタインの妻ロザリンデは、夫が留守ならばと昔の恋人アルフレードと不倫を始めますが、そこに刑務所長のフランクがアイゼンシュタインを連行しに現れたので、慌てて不倫相手を夫の身代わりに差し出してしまいます。
ロザリンデから追い出されるように暇をもらった小間使いのアデーレは、ロザリンデのドレスを勝手に着込んで舞踏会へと向かい、ロザリンデもまた変装して舞踏会に現れます。

アリア『私の侯爵様』

第二幕 オルロフスキー邸、ロザリンデのドレスを勝手に借用して女優オルガと名乗る小間使いのアデーレが、侯爵に扮したアイゼンシュタインに正体がバレそうになって、笑い飛ばすように歌います。
アリアのタイトルは他にも『侯爵様、あなたのようなお方は』や『アデーレの笑いのアリア』などとも呼ばれます。

作曲

作曲者はオーストリアの作曲家、ヨハン・シュトラウス2世(Johann Baptist Strauss II, 1825–1899)です。
彼は500曲以上のワルツ、ポルカ、カドリーユなどの舞踏音楽に加え、数曲のオペレッタやバレエを作曲しました。
彼は父親から受け継いだ「ワルツ王」や「ウィーンの太陽」などと呼ばれて、特に名曲『美しく青きドナウ』は現在でも広く知られています。

台本

台本はドイツの劇作家のカール・ハフナー(Karl Haffner, 本名:Karl Schlechter, 1804–1876)と、オーストリアの台本作家、劇作家、作曲家のリヒャルト・ジェネ(Franz Friedrich Richard Genée, 1823–1895)により書かれました。

歌詞(ドイツ語)

Mein Herr Marquis, ein Mann wie Sie
Sollt’ besser das verstehn,
Darum rate ich, ja genauer sich
Die Leute anzusehen!

Die Hand ist doch wohl gar zu fein, hahaha.
Dies Füsschen so zierlich und klein, hahaha.
Die Sprache, die ich führe
Die Taille, die Tournüre,
Dergleichen finden Sie
Bei einer Zofe nie!

Gestehen müssen Sie fürwahr,
Sehr komisch dieser Irrtum war!
Ja, sehr komisch, hahaha,
Ist die Sache, hahaha.
Drum verzeihn Sie, hahaha,
Wenn ich lache, hahaha!

Ja, sehr komisch, hahaha
Ist die Sache, hahaha!

Sehr komisch, Herr Marquis, sind Sie!

Mit dem Profil im griech’schen Stil
Beschenkte mich Natur.
Wenn nicht dies Gesicht schon genügend spricht,
So sehen Sie die Figur!

Schaun durch die Lorgnette Sie dann, ah,
Sich diese Toilette nur an, jah
Mir scheint wohl, die Liebe
Macht Ihre Augen trübe,
Der schönen Zofe Bild
Hat ganz Ihr Herz erfüllt!

Nun sehen Sie sie überall,
Sehr komisch ist fürwahr der Fall!
Ja, sehr komisch, hahaha
Ist die Sache, hahaha
Drum verzeihn Sie mir, hahaha,
Wenn ich lache, hahaha!

Ja, sehr komisch, hahaha,
Ist die Sache, hahaha etc.

日本語訳

侯爵様、あなたのような方なら
このことをもっと理解するべきです
ですから忠告しておきますが
そう、人をもっとよく見るように!

手は本当に細やかすぎて、ホホホ
この足もこんなに可愛くて小さい、ホホホ
私の話し方も
あの腰回りも、身のこなしも
こんなものは
メイドには決して見られません!

本当に認めなければなりません
この間違いが実に滑稽だという事を!
ええ、実に滑稽、ホホホ
そういうこと、ホホホ
だから許してくださいね、ホホホ
私が笑ってしまったときにも、ホホホ!

ええ、実に滑稽、ホホホ
そういうこと、ホホホ!

実に滑稽ですね、侯爵様!

私のギリシャ風の横顔は
自然に賜ったもの
この顔でもまだ十分に分からないなら
それならこの姿をご覧ください!

それから柄付き眼鏡を通して眺めてください、ああ
この衣装を、そう
輝くような恋に
あなたの眼は曇って
美しいメイドの姿に
あなたの心は完全に満たされている!

今や至るところで彼女の姿が目にうつる
実に滑稽な出来事ですね!
ええ、実に滑稽、ホホホ
そういうこと、ホホホ
だから許してください、ホホホ
私が笑ってしまったときにも、ホホホ!

ええ、実に滑稽、ホホホ
そういうこと、ホホホ

管理人コメント

さすがはヨハン・シュトラウス2世、軽快で楽しい、素晴らしい曲ですね。
叔母が重病だと偽って休みを取り、しかも女主人のドレスを勝手に借用したアデーレに、窮地を笑い飛ばすアリアを歌わせたのが面白いですよね。

YouTube 動画

Patricia Janečková の演奏です。