Non più andrai もう飛ぶまいぞこの蝶々

< オペラのアリア

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『Non più andrai もう飛ぶまいぞこの蝶々』は1786年に初演されたヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトのオペラ『Le nozze di Figaro フィガロの結婚』の中のアリアです。
『フィガロの結婚』は『セビリアの理髪師』『罪ある母』と共に「フィガロ三部作」と呼ばれる戯曲の第2部で、他の2作はロッシーニなどによりオペラ化されています。

このオペラは伯爵の家来フィガロと伯爵夫人に仕えるスザンナの結婚の直前、伯爵のスザンナへの誘惑を阻止しようとフィガロが活躍する物語です。
アリア『もう飛ぶまいぞこの蝶々』は、伯爵夫人に恋をした小姓のケルビーノが伯爵から軍隊入りを命じられた話を聞き、ケルビーノの浮ついた今の生活とは対照的な軍隊での暮らしを、からかうようにフィガロが歌います。

作曲

作曲者はオーストリアの音楽家ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト(Wolfgang Amadeus Mozart, 1756-1791)です。
誰もが知るウィーン古典派を代表する作曲家です。
モーツァルトが作曲した曲は、断片を含めると900曲以上に及び、声楽曲も器楽曲も多数残されています。
モーツァルトの作品はケッヘル番号と呼ばれる「K. + 数字」で整理されていて、オペラ『フィガロの結婚』は K.492 になります。

台本

台本はイタリア出身で後にアメリカのオペラ台本作家、詩人、カトリック教会の司祭であったロレンツォ・ダ・ポンテ(Lorenzo Da Ponte, 本名:Emanuele Conegliano, 1749–1838)により書かれました。
彼が書いた台本の中にはモーツァルトのオペラ『フィガロの結婚』『ドン・ジョヴァンニ』『コジ・ファン・トゥッテ』が含まれます。

歌詞(イタリア語)

Non più andrai, farfallone amoroso,
notte e giorno d'intorno girando;
delle belle turbando il riposo
Narcisetto, Adoncino d'amor.

Non più avrai questi bei pennacchini,
quel cappello leggero e galante,
quella chioma, quell'aria brillante,
quel vermiglio donnesco color.

Tra guerrieri, poffar Bacco!
Gran mustacchi, stretto sacco.
Schioppo in spalla, sciabla al fianco,
collo dritto, muso franco,
un gran casco, o un gran turbante,
molto onor, poco contante!
Ed invece del fandango,
una marcia per il fango.

Per montagne, per valloni,
con le nevi e i sollioni.
Al concerto di tromboni,
di bombarde, di cannoni,
che le palle in tutti i tuoni
all'orecchio fan fischiar.
Cherubino alla vittoria:
alla gloria militar!

日本語訳

恋愛の蝶々、ナルキッソス、愛のアドニスよ
夜昼かまわず飛び歩き
美しい女たちの憩いを邪魔しに行くことも、もう出来ないな

もう、こんな美しい羽根飾りも
軽やかで優雅なあの帽子も
あの髪も、あの華々しい雰囲気も
あの女性のような紅も、もう必要ないだろう

バッカスのような戦士たちの中に!
大きな口髭、きつく締めたサック
肩にはライフル、腰にはサーベル
まっすぐな首、いかつい鼻
大きな帽子、大きなターバン
名誉は大きく、給料は少ない!
そしてファンダンゴを踊る代わりに
ファンゴ(泥)の中を行進する

山を越え、谷を抜け
雪の時も、酷暑の時も
トロンボーンと臼砲と大砲の合奏の中を
砲弾が雷のような音をたてて耳をつんざく
ケルビーノよ、勝利と軍人の栄光を!

管理人コメント

楽しいアリアです。
このオペラの面白さを集約したような、フィガロの愛嬌と傲慢さが表現される名曲ですね。
モーツァルトの遊び心が感じられます。

YouTube 動画

Michael Mofidian の演奏です。