O dolci mani
優しく清らかな手

< オペラのアリア

写真

『O dolci mani 優しく清らかな手』は1900年に初演されたジャコモ・プッチーニのオペラ『Tosca トスカ』の中のアリアです。

オペラ『トスカ』

1800年6月17日と18日のローマ、画家のカヴァラドッシは教会の礼拝堂でマグダラのマリアの肖像の制作をしながら、彼の恋人で有名歌手のトスカの事を想っています。
その教会にはカヴァラドッシの友人で脱獄した政治犯のアンジェロッティが隠れていました。
思わぬ友人との再会にカヴァラドッシが彼を匿った事から、カヴァラドッシとトスカの悲劇が始まります。

アリア『優しく清らかな手』

第三幕 サンタンジェロ城屋上の処刑場、悪徳な警視総監スカルピアの企てにより処刑を待つカヴァラドッシの元にトスカが現れ、スカルピアを殺して、カヴァラドッシと二人で逃げるための通行証を手に入れたと聞かされます。
トスカの愛情と勇気に畏敬の念を抱いてカヴァラドッシが歌います。

作曲

作曲者はイタリアの作曲家、ジャコモ・プッチーニ(Giacomo Puccini, 1858–1924)です。
彼は主にオペラの作曲家として知られ、『ラ・ボエーム』『トスカ』『蝶々夫人』『トゥーランドット』など、最も頻繁に上演され録音されている名作オペラを残しています。

台本

台本はイタリアの台本作家のルイジ・イッリカ(Luigi Illica, 1857–1919)と、イタリアの詩人、劇作家、台本作家のジュゼッペ・ジャコーザ(Giuseppe Giacosa, 1847–1906)により書かれました。

歌詞(イタリア語)

O dolci mani mansuete e pure,
o mani elette a bell'opre e pietose,
a carezzar fanciulli, a coglier rose,
a pregar, giunte, per le sventure,
dunque in voi, fatte dall'amor secure,
giustizia le sue sacre armi depose?
Voi deste morte, o man vittoriose,
o dolci mani mansuete e pure!...

日本語訳

ああ柔らかく、清らかな優しい手
ああ美しく慈悲深い行ないのために選ばれ
子供を愛撫し、バラを摘み
不幸な時には合わせて祈り
そうして愛によって守られた貴女の手に
正義は神聖なる武器を降ろしたのか?
貴女は死を与えた、ああ勝利の手よ
ああ柔らかく、清らかな優しい手よ

管理人コメント

美しくて、切ないアリアですね。
カヴァラドッシはこのアリアの前に『E lucevan le stelle 星はきらめき』を歌って絶望を語っているのですが、それを聴いた後だからこそ、『優しく清らかな手』に惹かれるのでしょうね。

YouTube 動画

Leonardo Capalbo の演奏です。