O zittre nicht,mein lieber Sohn!
恐れるな、若者よ

< オペラのアリア

写真

『O zittre nicht,mein lieber Sohn! 恐れるな、若者よ』は1791年に初演されたヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトのオペラ『Die Zauberflöte 魔笛』の中のアリアです。

オペラ『魔笛』

オペラ『魔笛』は、モーツァルトが亡くなる2カ月前に初演されて大成功を収めた、最後のオペラです。
遠い国で道に迷ってしまった王子タミーノは、大蛇に襲われて、夜の女王の三人の侍女に助けられます。
タミーノは夜の女王の娘パミーナの肖像画を見て一目惚れし、女王の求めに応じて悪魔ザラストロに捕らえられているパミーナを救出に向かうことになります。
旅の共は鳥刺しのパパゲーノ、二人は魔法の笛と魔法の鈴を授かってザラストロの神殿へと出発します。

アリア『恐れるな、若者よ』

第一幕 夜の女王の王座、タミーノ王子に娘パミーナを救出させようとして、さらわれた時の怯える娘の姿を語り、そして彼女を救い出せば彼女は永遠にお前のものになると、夜の女王が歌います。
レチタティーヴォ『O zittre nicht, mein lieber Sohn』とアリア『Zum Leiden bin ich auserkoren』が続けて歌われます。

作曲

作曲者はオーストリアの音楽家ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト(Wolfgang Amadeus Mozart, 1756-1791)です。
誰もが知るウィーン古典派を代表する作曲家です。
モーツァルトが作曲した曲は、断片を含めると900曲以上に及び、声楽曲も器楽曲も多数残されています。
モーツァルトの作品はケッヘル番号と呼ばれる「K. + 数字」で整理されていて、オペラ『魔笛』は K.620 になります。

台本

台本はドイツの興行主で劇作家、俳優、歌手、作曲家であったエマヌエル・シカネーダー(Emanuel Schikaneder, 1751–1812)により書かれました。

歌詞(ドイツ語)

O zittre nicht, mein lieber Sohn,
du bist unschuldig, weise, fromm
Ein Jüngling so wie du, vermag am besten,
dies tiefbetrübte Mutterherz zu trösten.

Zum Leiden bin ich auserkoren,
denn meine Tochter fehlet mir.
Durch sie ging all mein Glück verloren,
ein Bösewicht, entfloh mit ihr.
Noch seh' ich ihr Zittern
mit bangem Erschüttern,
ihr ängstliches Beben,
ihr schüchternes Streben.
Ich mußte sie mir rauben sehen.
"Ach helft!" – war alles was sie sprach
allein vergebens war ihr Flehen,
denn meine Hilfe war zu schwach.

Du wirst sie zu befreien gehen,
du wirst der Tochter Retter sein!
Und werd' ich dich als Sieger sehen,
so sei sie dann auf ewig dein.

日本語訳

おお、恐れるな、愛しい若者よ
お前は清く、賢く、敬虔です
お前のような若者こそが、
この深く悲しむ母親の心を、最もよく慰めてくれる

私は苦しむ運命にある
それは娘を失ったから
悪党が彼女を連れて逃げ去り
私の幸せは全て失われた
今なお、娘のおののきが目に浮かぶ
怯えながら
不安に震えて
臆しながらも必死な姿が
私は娘がさらわれていくのを見守るしかなかった
「ああ、助けて!」、娘はただそれだけを叫び
彼女の願いはただ空しかった
それは、私の助けがあまりに弱かったから

お前は娘を解放しに行き
娘の救い主となるのです
そして、私がお前を勝利者と見なした時には
娘は永遠にお前のものとなる

管理人コメント

有名な二つの「夜の女王のアリア」の一曲目です。
どちらもコロラトゥーラ・ソプラノを要求される難曲で、二曲目のような圧倒的される迫力はないのですが、とても技巧的なアリアです。

YouTube 動画

Sarah Traubel の演奏です。