Sola, perduta, abbandonata
ひとり寂しく

< オペラのアリア

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『Sola, perduta, abbandonata ひとり寂しく』は1893年に初演されたジャコモ・プッチーニのオペラ『Manon Lescaut マノン・レスコー』の中のアリアです。

オペラ『マノン・レスコー』

18世紀末のフランス、学生と娘たちが集まり騒いでいる広場に兄と共に現れた美女マノン・レスコー、彼女は父の遺言で修道院に行くことが決まっていました。
そんなマノンを見た騎士のデ・グリューは彼女に一目ぼれしますが、年老いた会計総監ジェロンテもまた彼女を見初めてマノンの誘拐を企てます。

アリア『ひとり寂しく』

第四幕 アメリカはルイジアナ州の荒野、マノンとデ・グリューは植民地ルイジアナでも問題を起こして、二人で荒野を彷徨うことになります。
疲弊して一歩も動けなくなってしまったのマノンの為に、デ・グリューは水を求めて走り、一人残されたマノンが死にたくないと歌います。

作曲

作曲者はイタリアの作曲家、ジャコモ・プッチーニ(Giacomo Puccini, 1858–1924)です。
彼は主にオペラの作曲家として知られ、『ラ・ボエーム』『トスカ』『蝶々夫人』『トゥーランドット』など、最も頻繁に上演され録音されている名作オペラを残しています。

台本

台本の制作は難航し、ルッジェロ・レオンカヴァッロ、マルコ・プラーガ、ドメニコ・オリヴァ、ジュゼッペ・ジャコーザ、ルイージ・イッリカ、さらにジュリオ・リコルディとプッチーニ自身も協力して書き進められました。
最終的にはイタリアの詩人、劇作家、台本作家のジュゼッペ・ジャコーザ(Giuseppe Giacosa, 1847–1906)と、イタリアの台本作家のルイジ・イッリカ(Luigi Illica, 1857–1919)により台本が完成されました。

歌詞(イタリア語)

Sola, perduta, abbandonata …
in landa desolata!
Orror! Intorno a me s'oscura il ciel …
Ahimè, son sola!
E nel profondo deserto io cado,
strazio crudel, ah! sola abbandonata,
io, la deserta donna!
Ah! non voglio morir!
No! non voglio morir!
Tutto dunque è finito.
Terra di pace mi sembrava questa …
Ahi! mia beltà funesta,
ire novelle accende …
Strappar da lui mi si volea; or tutto
il mio passato orribile risorge,
e vivo innanzi al guardo mio si posa.
Ah! di sangue s'è macchiato.
Ah! tutto è finito.
Asil di pace ora la tomba invoco …
No! non voglio morir … amore, aita!

日本語訳

ひとり、絶望し、見捨てられた
荒れはてた地で!
恐ろしい! 空は暗く闇に覆われてきた
ああ、私は独りぼっち!
私は砂漠の底に倒れている
残酷な仕打ち、ああ! ひとり見捨てられた
私は見捨てられた女!
ああ! 死にたくない!
いや! 死にたくない!
これですべてが終わった
ここは安らぎの地だと思ったのに
ああ! 私の美しさが不幸を呼ぶ
新たな怒りが燃え上がり
私は彼からも引き離された
過去の恐ろしいすべての時が蘇えり
私の目の前に生々しく横たわっている
ああ! 血に染まっている
ああ! すべては終わった
安息の地、墓に祈る
いや! 死にたくない、愛する人よ助けを!

管理人コメント

死が迫るマノンが死にたくないと歌う、とても悲しいアリアです。
マノンは淑女ではなくても、悪人でもないのでしょう。
美人であったが為の悲劇という話でしょうか。

YouTube 動画

Asmik Grigorian の演奏です。