Una furtiva lagrima
人知れぬ涙

< オペラのアリア

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『Una furtiva lagrima 人知れぬ涙』は1832年に初演されたガエターノ・ドニゼッティのオペラ『L'elisir d'amore 愛の妙薬』の中のアリアです。

オペラ『愛の妙薬』

18世紀終わりのスペイン、貧しい農民のネモリーノは裕福な地主アディナに思いを寄せますが、彼女は村外れに宿営している凛々しい軍服姿のベルコーレ軍曹に一目惚れしてしまいます。
焦ったネモリーノは、怪しい薬を売りつけるインチキ医者のドゥルカマーラ博士に、『トリスタンとイゾルデ』のような秘薬を求めます。

アリア『人知れぬ涙』

第二幕、アディナの愛を得るために秘薬をさらに一本買い求めようとしたネモリーノですが、彼にはお金がありません。
仕方なく軍隊に入隊して給料の前借りで秘薬を買ったという話をアディナが聞き、思わず涙を流します。
自分のために涙を流すアディナの姿を見て、ネモリーノが歌います。

作曲

作曲者はイタリアのロマン派の作曲家、ガエターノ・ドニゼッティ(Domenico Gaetano Maria Donizetti, 1797–1848)です。
ドニゼッティは70曲近くのオペラを残した、19世紀前半のイタリアを代表するオペラ作曲家です。

台本

台本はイタリアの詩人で文学・神話学の学者でもあったフェリーチェ・ロマーニ(Giuseppe Felice Romani, 1788–1865)により書かれました。

歌詞(イタリア語)

Una furtiva lagrima
negli occhi suoi spuntò:
Quelle festose giovani
invidiar sembrò.

Che più cercando io vo?
Che più cercando io vo?
M'ama! Sì, m'ama,
lo vedo, lo vedo.

Un solo istante i palpiti
del suo bel cor sentir!
I miei sospir confondere
per poco a' suoi sospir!
I palpiti, i palpiti sentir,
confondere i miei co' suoi sospir.

Cielo, si può morir;
di più non chiedo, non chiedo.
Ah, cielo! Si può! Si può morir!
Di più non chiedo, non chiedo.
(Si può morir! Si può morir d'amor.)

日本語訳

ひそかな涙が
彼女の眼に浮かんだ
彼女はあの楽しげな娘たちを
羨んでいるような気がする

僕はこれ以上に何を求めるというのか?
そう、彼女は僕を愛しているのだ
僕にはわかる

一瞬でもいいから
彼女の美しい心のときめきを感じたい!
僕のため息と彼女のため息が
一瞬でも交じり合うことができたら!
ときめきを感じることができたら
僕と彼女のため息が交じり合うことができたら

ああ、僕は死んでもいい
もうそれ以上は求めはしない
ああ、僕は死んでもいい!
もうそれ以上は求めはしない

管理人コメント

悲壮感すら感じられる美しいアリアです。
アディナがネモリーノのために涙を流しているのに、ネモリーノは悲しそうに歌う、これこそが『愛の妙薬』に相応しいのかもしれません。

YouTube 動画

Benjamin Bernheim の演奏です。