Vecchia zimarra
古い外套よ

< オペラのアリア

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『Vecchia zimarra 古い外套よ』は1896年に初演されたジャコモ・プッチーニのオペラ『La bohème ラ・ボエーム』の中のアリアです。

オペラ『ラ・ボエーム』

オペラのタイトル『La bohème』は「ボヘミアン」の事で、自由奔放な生活を追求し実践する人たちのことです。
1830年代のパリ、ボヘミアン仲間の画家マルチェッロ、詩人ロドルフォ、哲学者コッリーネ、音楽家ショナールと、彼らが暮らす火の気の無い寒い部屋に現れた病弱な女性ミミ、奔放な女性歌手ムゼッタによる物語りです。

アリア『古い外套よ』

第四幕 ボヘミアン仲間が暮らす屋根裏部屋、病気で衰弱したミミが路上で発見されて彼らの部屋へと担ぎ込まれます。
ミミのためにマルチェッロはムゼッタのアクセサリを売って薬を買いに出ていき、哲学者コッリーネもまた自らの古い外套を質入れしようとして、その想いを歌います。

作曲

作曲者はイタリアの作曲家、ジャコモ・プッチーニ(Giacomo Puccini, 1858–1924)です。
彼は主にオペラの作曲家として知られ、『ラ・ボエーム』『トスカ』『蝶々夫人』『トゥーランドット』など、最も頻繁に上演され録音されている名作オペラを残しています。

台本

台本はイタリアの台本作家のルイジ・イッリカ(Luigi Illica, 1857–1919)と、イタリアの詩人、劇作家、台本作家のジュゼッペ・ジャコーザ(Giuseppe Giacosa, 1847–1906)により書かれました。

歌詞(イタリア語)

Vecchia zimarra, senti
Io resto al pian, tu ascendere
Il sacro monte or devi
Le mie grazie ricevi
Mai non curvasti il logoro
Dorso ai ricchi ed ai potenti
Passâr nelle tue tasche
Come in antri tranquilli
Filosofi e poeti
Ora che i giorni lieti
Fuggîr, ti dico: addio
Fedele amico mio
Addio, addio

日本語訳

古い外套よ、聞いてくれ
私は地上にとどまるが
今、お前は神聖な山を登らなければならない
私の感謝の言葉を受けてくれ
お前はその擦り切れた背中を
金持ちや権力者に屈したことはなかった
お前のポケットの中を
まるで静かな洞窟のように
哲学者や詩人たちが通った
今や楽しい日々は過ぎ去った
お前に告げよう、さようなら
私の忠実なる友よ
さようなら、さようなら

管理人コメント

自らの古い外套を売りに出そうというアリアなんですが、外套に対する思い入れがよほどに強いのでしょう、まるで古い友人に語り掛けるように歌います。
いかにも哲学者という感じで受け入れてあげると、とても良いアリアです。
バリトン・バスの美しい声が輝きます。

YouTube 動画

Peter Monaghan の演奏です。