Was duftet doch der Flieder
リラの花のかぐわしさ

< オペラのアリア

写真

概要

『Was duftet doch der Flieder リラの花のかぐわしさ』は1868年に初演されたリヒャルト・ワーグナーのオペラ『Die Meistersinger von Nürnberg ニュルンベルクのマイスタージンガー』の中のアリアです。

オペラ『ニュルンベルクのマイスタージンガー』

16世紀中頃、北欧におけるルネサンスの中心地の一つであるニュルンベルクにおいて、マイスタージンガー(名人歌手)組合を舞台とした喜劇です。
若い騎士のヴァルターと、金細工師兼歌い手のポークナーの娘エファは互いに一目惚れしますが、翌日の聖ヨハネ祭に行われるマイスタージンガー組合の歌合戦で、ポークナーは優勝者を娘エファと結婚させるつもりだと聞かされます。
その歌合戦に出場するにはマイスタージンガーの資格が必要であり、急遽、ヴァルターは靴屋の親方ザックスの徒弟ダフィトから特訓を受けます。

アリア『リラの花のかぐわしさ』

マイスタージンガーの資格試験で、感性のまま奔放に歌うヴァルターは落第してしまいます。
第二幕 ポークナーとザックスの家の前、夜なべ仕事のために外に出てきたザックスは、試験では落第してしまったヴァルターの歌が頭から離れずに、その魅力について歌います。

作曲

作曲者はドイツの作曲家、演出家、随筆家、指揮者のリヒャルト・ワーグナー(Wilhelm Richard Wagner, 1813–1883)です。
彼は主にオペラ作品でその名を知られ、作曲だけでなく、ほとんどの台本を彼が単独で執筆しました。
またレチタティーヴォやアリアなどが独立して演奏されてきた従来のオペラを、途切れのない一つの音楽作品へと発展させ、詩的、視覚的、音楽的、そして劇的芸術を統合し、音楽をドラマに従属させるという独自の「総合芸術作品」構想によってオペラに革命をもたらしました。

台本

台本もリヒャルト・ワーグナーにより書かれました。

歌詞(ドイツ語)

Wie duftet doch der Flieder
so mild, so stark und voll!
Mir löst es weich die Glieder,
will, dass ich was sagen soll.
Was gilt's, was ich dir sagen kann?
Bin gar ein arm einfältig' Mann!
Soll mir die Arbeit nicht schmecken,
gäbst, Freund, lieber mich frei,
tät' besser, das Leder zu strecken
und liess' alle Poeterei!

Und doch, 's will halt nicht geh'n:
Ich fühl's und kann's nicht versteh'n: -
kann's nicht behalten, - doch auch nicht vergessen:
und fass' ich es ganz, kann ich's nicht messen!
Doch wie wollt' ich auch fassen,
was unermesslich mir schien?
Kein' Regel wollte da passen,
und war doch kein Fehler drin.
Es klang so alt und war doch so neu,
wie Vogelsang im süssen Mai!
Wer ihn hört,
und wahnbetört
sänge dem Vogel nach,
dem brächt' es Spott und Schmach:
Lenzes Gebot,
die süsse Not,
die legt' es ihm in die Brust:
nun sang er, wie er musst',
und wie er musst', so konnt' er's, -
das merkt' ich ganz besonders.
Dem Vogel, der heute sang,
dem war der Schnabel bald gewachsen;
macht' er den Meistern bang,
gar wohl gefiel er doch Hans Sachsen!

日本語訳

リラの花はなんと柔らかく
なんと濃厚で豊かに香るのだろう!
それは私の手足を柔らかくほぐし
何かを語りだしたくなる
何を語ればいいのか、それに価値はあるのか?
なんと乏しい無知な男だろう!
もしこの仕事が気に入らないのなら
友よ、私を放っておいてくれ
革を打ち伸ばしている方がましだ
詩を作るなど一切をやめて!

それでも、それは消え去らない
私はそれを感じるが、理解することができない
それを留めることもできず、だからと言って忘れることもできない
そのすべてに触れていても、それを測ることができない!
だが、私には計り知れないほどなのに
どうやってそれを捉えるつもりでいるのか?
どの規則にも合わないように思えたが
だがしかし、そこには何の誤りもなかった
そのとても古くて、それでいてとても新しい響きは
まるで愛らしい五月の鳥のさえずりのようだ!
それを聞いて
魅了されて
鳥のように歌う者が
嘲笑と恥辱で打ち砕かれた
春の誘い
甘い悩みが
彼の胸の中に横たわり
そこで彼は歌わざるをえぬままに歌った
だからこそ、彼はそれほどに歌えた
それが私にははっきりと分かった
今日歌った鳥は
すぐにそのくちばしを伸ばすだろう
彼はマイスターたちを不安にさせたが
だがしかし、ハンス・ザックスは彼をとても気に入った!

管理人コメント

柔らかくて優しさにあふれるバス・バリトンのアリアです。
リラ(Lilas)はフランス語で、英語のライラック(Lilac)の方が知られているかもしれません。
香りがよくて香水の原料としても使われる花です。

YouTube 動画

Rene Pape の演奏です。