モーツァルト ピアノソナタ ハ長調 K.545 解説

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モーツァルト ピアノソナタ ハ長調 K.545を演奏すために、管理人が勉強のためにまとめた解釈のメモです。
タイトルを解説としていますが、上記をご理解の上でご覧ください。

モーツァルトはピアノソナタだけで27曲も残しています。
そのうちの四手と2台ピアノの曲を除いて18曲、この中にハ長調の曲が4曲あります。
今回の解説で取り上げるのはK.545で、新モーツァルト全集では16番(旧15番)が付されています。
新モーツァルト全集が膨大なのでもう少し深堀すると、全集10編の中の第9編がクラビーア音楽作品で、その中にクラビーアソナタが全2巻あって、その2巻の中に含まれている16番がK.545になります。

モーツァルト ピアノソナタ ハ長調 K.545とは

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ピアノソナタ ハ長調 K.545(もう面倒なのでK.545で記します)はハイドン / モーツァルト / ベートーベンのピアノソナタを集めた『ソナタアルバム』や、中級者向けに編纂された『ソナチネアルバム』にも収められているので、ピアノ学習者には馴染みのある曲となっています。

K.545はモーツァルト自作の作品目録の中で1788年6月26日の日付とともに「初心者のための小さなソナタ」と記されているので、その言葉の通りに受け取って良いと思います(管理人にはとても難かしい曲ですが・・)。
1788年の作品だとするとモーツァルトは32歳、35歳の若さで他界しているモーツァルトの比較的晩年の作品となりますね。
この時期のモーツァルトはウィーンに定住していて、前年には父レオポルトが他界しオペラの『ドン・ジョバンニ』が作曲されています。

K.545の構成は以下の通りです。
 第一楽章 アレグロ ハ長調 4分の4拍子 ソナタ形式
 第二楽章 アンダンテ ト長調 4分の3拍子 複合三部形式
 第三楽章 ロンド - アレグレット ハ長調 4分の2拍子 ロンド形式

この解説では第一楽章のみを扱います。

モーツァルト ピアノソナタ ハ長調 K.545
ソナタ形式に基づいた確認

ここからはソナタ形式に基づいた構成の確認をしていきますので、まずソナタ形式を簡単におさらいしておきます。

  *1 主調が長調なら属調、短調なら平行調
  *2 主調が短調なら同主調

上記を頭に入れながら、K.545の構成を見て行きます。

【提示部】

楽譜

ソナタ形式の提示部、第一主題はタイトルの通りハ長調からスタートします。
第一主題は4小節です。

楽譜

第一主題に引き続き5小節目から推移部が現れます。

楽譜

推移部は12小節目で終了します。
この時の音がハ長調の属音であるソになります。

楽譜

13小節目から提示部の第二主題がト長調で始まります。
第一主題がハ長調だったので、セオリー通り属調のト長調に移りました。
調合は付いていませんが、臨時記号を追っての解釈です。
第二主題は28小節目のリピートまで続きます。

【展開部】

楽譜

リピートの後、29小節目から展開部になります。
展開部はト短調からスタート、転調を繰り返していきます。

楽譜

35小節目に二短調に転調します。

楽譜

さらに40小節目あたりでイ短調に転調しながら再現部へと向かいます。

【再現部】

楽譜

42小節目から再現部の第一主題がヘ長調で始まります。
セオリーでは再現部は主調であるハ長調から始まるのですが、ここではハ長調の下属調であるヘ長調から始まっているのが特徴的で、後にシューベルトも同じ技法を採用しています。

楽譜

51小節目で第一主題がヘ長調から主調であるハ長調に転調します。

楽譜

58小節目で第二主題がセオリー通りに主調であるハ長調で始まります。
51小節目でハ長調に転調しているので、ここではハ長調→ハ長調と転調なしで進みます。

以上が『モーツァルト ピアノソナタ ハ長調 K.545』をソナタ形式に基づいて確認した結果です。
一度こうやって確認しておくと、他のソナタ形式の曲を弾く際にも役に立ちそうです。

※このページで使用している楽譜は全て下記から引用しています。
 (株)TBSサービス 発行
  ソナタ アルバム1
  クリストフ・エッシェンバッハ編