作曲家を知ろう
有名な作曲家についてご紹介します

作曲家の事を知らなくても音楽は楽しいですが、作曲家を知ることで彼らが表現しようとした曲の世界にもう一歩踏み込むことができると思います。
このページでは作曲家の生まれた時代や有名な曲などを紹介しますので、どうぞご覧ください。
意外な何かが見えるかもしれません。

パッヘルベル

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フルネームはヨハン・パッヘルベル(独: Johann Pachelbel)、1653年9月1日(洗礼日)にドイツのニュルンベルクで生まれた作曲家でありオルガニストです。
遠くバロック期の作曲家であり、宗教曲や宗教曲以外の曲も数多く作曲しています。
特にコラール前奏曲やフーガの発展に大きく貢献したところから、バロック中期における最も重要な作曲家の一人と言われています。
当時は人気の作曲家だったのですが、現在においてパッヘルベルの曲で知られているのは『パッヘルベルのカノン』くらいですね。
『パッヘルベルのカノン』は誰でも知っている有名な曲ですが、正式タイトルは『3つのヴァイオリンと通奏低音のためのカノンとジーグ ニ長調』になります。
通奏低音とはチェンバロやオルガンなどによる伴奏のことで、バロック音楽の根幹をなす手法です。

ヴィヴァルディ

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フルネームはアントニオ・ルーチョ・ヴィヴァルディ(Antonio Lucio Vivaldi)、1678年3月4日に今のイタリアのヴェネツィアで生まれた作曲家でありヴァイオリニストです。
作曲家として協奏曲、室内楽、オペラ、宗教音楽など数多くの曲を残しています。
また作曲家として活躍しながら、25歳でカトリック教会の司祭に叙階され、その赤毛の特徴から「赤毛の司祭」と呼ばれていました。
協奏曲集『四季』は誰もが知る有名な曲ですね。
『四季』はその名前の通り『春』『夏』『秋』『冬』の四つの楽曲から構成されていて、さらにそれぞれが3楽章あります。
各曲にはソネットという定型詩が付されていますので、『春』の第1楽章だけ紹介します。
『春が来てはしゃぐ 小鳥たちは陽気な歌でよろこび迎え 泉はそよ風の息吹に やさしくこんこんと湧き出る 黒いマントで空を覆いつつ 気高い稲妻と雷が春の到来を告げに来る 口上が終わったあとに 小鳥たちが再び 魅惑的な声で歌い出す』

ヘンデル

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フルネームはゲオルク・フリードリヒ・ヘンデル(独: Georg Friedrich Händel)、1685年2月23日にドイツのハレで生まれた作曲家でありオルガニスト。
作曲家としてオペラやオラトリオを中心に多くの曲を残していますが、とくに有名なのは管弦楽組曲の『水上の音楽』や、オラトリオの『メサイア』ではないでしょうか。
『メサイア』はイエス・キリストの生涯を題材とした独唱曲・重唱曲・合唱曲で構成され、その中の『ハレルヤコーラス』はとくに有名ですね。
『メサイア』はクリスマスやイースターに演奏されることが多いようです。
オラトリオについて簡単に説明すると、宗教的な題材をもとに、オーケストラの伴奏による独唱や合唱で構成される大規模な楽曲のことで、オペラと似ていますが演技や大道具・小道具を用いないところが明確な違いです。

バッハ

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フルネームはヨハン・ゼバスティアン・バッハ(独: Johann Sebastian Bach)、1685年3月31日にドイツのアイゼナハで生まれ、鍵盤楽器(オルガンやチェンバロなど)の高名な演奏家であり作曲家でした。
バロック音楽の集大成であり、対位法的要素を重視したバッハは、後に西洋音楽の基礎を構築した『音楽の父』と称されています。
対位法とは、複数の旋律をそれぞれに独立性を保ちつつ、調和させながら重ねる作曲技法です。
演奏と作曲に生涯をささげた彼の曲は、現在もその整理が続けられていて、約1100の作品が扱われています。
『主よ人の望みの喜びよ』『G線上のアリア』『小フーガ ト短調』などは、誰もが知っている曲ですね。
有名な『G線上のアリア』は、バッハの『管弦楽組曲第3番ニ長調 BWV1068』の第2曲『エール (Air)』をバイオリニストのウィルヘルミが編曲した曲なんですが、この編曲の際にニ長調からハ長調への移調を行ったためにヴァイオリンのG線のみで演奏できるようになり、『G線上のアリア』の通称で呼ばれるようになりました。

ハイドン

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フルネームはフランツ・ヨーゼフ・ハイドン(Franz Joseph Haydn)、1732年3月31日に今のオーストリアのローラウで生まれ、後に『交響曲の父』『弦楽四重奏曲の父』と呼ばれるほど、数多くの交響曲や弦楽四重奏曲などを作曲しています。
当時のハイドンの名声はあまりに高く、別人の曲をハイドンの名前で出版されることもあったようです。
またソナタ形式を確立・発展させ、後の作曲家に大きな影響を与えました。
弦楽四重奏曲など優れた曲が多いのですが、演出として面白いのが交響曲第45番『告別』です。
この曲では最終楽章の演奏途中で演奏者が少しずつ舞台から去っていき、最後にはバイオリニスト2名だけになってしまいます。
これは当時仕えていたエステルハージ家の夏の離宮での滞在が長引き、家に帰りたいという楽団員の願いをアピールするための演出だったという逸話が残っています。

モーツァルト

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フルネームはヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト(独: Wolfgang Amadeus Mozart)、1756年1月27日に今のオーストリアのザルツブルクで生まれ、神童と呼ばれて5歳の時にはもう最初の作曲を行っています。
1791年に35歳の若さで没するまでに、声楽曲や器楽曲を900曲以上も作曲しています。
オペラ『フィガロの結婚』、宗教曲『アヴェ・ヴェルム・コルプス』、セレナード『アイネ・クライネ・ナハトムジーク』、ピアノのための変奏曲『きらきら星変奏曲』などは、クラシック音楽ファンでない方でも聞いたことのある曲です。
『きらきら星変奏曲』は当時フランスで流行していた恋の歌『ああ、お母さん、あなたに申しましょう』による変奏曲で、この旋律が後に童謡『きらきら星』として知られるようになり、日本では『きらきら星変奏曲』と呼ばれています。

ベートーヴェン

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フルネームはルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(独: Ludwig van Beethoven)、1770年12月16日頃にドイツのボンで生まれ、7歳で演奏家としてデビューしているそうです。
20代の後半には持病の難聴が悪化しながらも、1827年に没するまでに管弦楽作品、オペラ、宗教作品、室内楽作品、歌曲などの名曲を多数残しました。
交響曲第5番(運命)、交響曲第9番(合唱付き)などは日本でも広く知られていて、年末には交響曲第9番のコンサートがあちこちで催されます。
ピアノソナタ『月光』も一度は取り組んでみたい名曲ですね。
発表時には『幻想曲風ソナタ』というタイトルだったのですが、曲の世界観から『まるでルツェルン湖の月光の波に揺らぐ小舟のようだ』と評され『月光』と呼ばれるようになりました。

シューベルト

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フルネームはフランツ・ペーター・シューベルト(独: Franz Peter Schubert)、1797年1月31日に今のオーストリアのリヒテンタールで生まれ、1828年に31歳の若さで没するまでに、多くの交響曲、室内楽曲、ピアノ曲、歌曲、オペラなどを残しています。
とくにドイツ語の歌曲は576曲もあり、『歌曲の王』と称されています。
歌曲の中でもよく知られているであろう曲は『魔王』『アヴェ・マリア』『ます』『冬の旅』などがあります。
『魔王』はゲーテの詩を用いて作曲された曲で、高熱を出した幼い息子、息子を腕に抱いて夜の闇を馬で医者へと急ぐ父親、うなされた息子が見る幻の魔王、語り手の四役を一人の歌手が歌います。
嵐の中を疾走する馬車、しのびよる魔王の不気味な影、高熱にうなされる息子の叫び声などが巧みに表現された名曲です。

メンデルスゾーン

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フルネームはヤーコプ・ルートヴィヒ・フェーリクス・メンデルスゾーン・バルトルディ(Jakob Ludwig Felix Mendelssohn Bartholdy)、1809年2月3日に今のドイツのハンブルクで生まれ、幼少の頃から優れた音楽の才能を示して神童と呼ばれていたそうです。
有名な『結婚行進曲』は、メンデルスゾーンが姉のファニーと楽しむために書いたピアノ連弾曲を基にした『夏の夜の夢』に、後に劇付随音楽として作曲された曲です。
また、テレビCMなどにも使われて有名な『春の歌』は、『無言歌集』という曲集の中の一曲で、楽譜の冒頭に『春の歌のように』と書かれています。
『無言歌集』は柔らかい言葉にすると『言葉の無い歌』で、歌曲を思われる美しい旋律が特徴的です。

ショパン

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フルネームはフレデリック・フランソワ・ショパン(仏: Frédéric François Chopin 、ポーランド語: Fryderyk Franciszek Chopin)、1810年3月10日(諸説あり)に今のポーランドのジェラゾヴァ・ヴォラで生まれ、7歳で『ポロネーズ ト短調』を作曲、8歳で演奏会を開いています。
ピアニストとしても作曲家としても有名だったショパンは、『ピアノの詩人』と呼ばれ、その作曲のほとんどをピアノ独奏曲が占めます。
生涯を通じて肺結核に悩まされた病弱な芸術家でありながら、情熱的な作風の曲も多く残しています。
故国ポーランドへの強い愛国心を持ち続け、ポーランドの民族音楽であるマズルカやポロネーズの独特なリズムを題材とした曲が多いのも特徴です。
題材としてのマズルカとポロネーズの違いを簡単に言うと、マズルカが庶民のための音楽、ポロネーズは貴族や宮廷のための音楽となります。

シューマン

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フルネームはロベルト・アレクサンダー・シューマン(独: Robert Alexander Schumann)、1810年6月8日に今のドイツのツヴィッカウで生まれ、当初はピアニストを目指していたものの指の故障を転機に作曲家および音楽評論家としての道を歩みます。
作曲は交響曲から合唱曲まで幅広い分野におよびますが、特にピアノ曲と歌曲において高い評価を得ています。
13の短い曲で構成されたピアノ曲集『子供の情景』の中の一曲、『トロイメライ』はとても有名な曲ですね。
『トロイメライ』というタイトルはドイツ語で「夢、夢想」という意味で、3分間ほどの短い曲ではありますが心に染みるようなメロディーが魅力的です。
大人が子供の心を思い出すための作品と言われています。

リスト

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フルネームはフランツ・リスト(独: Franz Ritter von Liszt、洪: Liszt Ferencz)、1811年10月22日にハンガリーのドボルヤーン(現オーストリアのライディング)で生まれ、ヨーロッパ各地で活躍したピアニストであり作曲家です。
指がとても長く12度の音程も軽々と押さえることができたリストは、ピアニストとして超絶技巧の名手であり、その演奏で女性ファンの失神が続出したとの逸話も残っています。
「ピアノの魔術師」と呼ばれてどんな曲でも初見で弾きこなし、さらに即興を盛り込んだと言われています。
超絶技巧は自身のピアノ演奏だけでなく、その作曲にも表れていて、非常に困難なテクニックを要求する曲が多いのが特徴です。
有名な『ラ・カンパネッラ』は、パガニーニのヴァイオリン協奏曲『ラ・カンパネラ』の主題を編曲して書かれ曲で、イタリア語で「鐘」という意味です。
曲中で表現されている美しい鐘の音が特徴的で、その難易度と合わせて有名な曲です。

ワーグナー

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フルネームはヴィルヘルム・リヒャルト・ワーグナー(独: Wilhelm Richard Wagner)、1813年5月22日にドイツのライプツィヒで生まれた作曲家です。
ワーグナーは楽劇の創始者として楽劇王と呼ばれ、優れたオペラ・楽劇を残しているのですが、彼の場合は作曲だけでなく台本の執筆も自身で行ったところが特徴的です。
オペラ『タンホイザー』の中の『タンホイザー行進曲』は有名ですよね。
それから楽劇『ニーベルングの指環』も話題にすべき重要な作品です。
この作品は独立した四つの楽劇からなる連作で、トータル15時間を要する長大な作品を4夜連続で上演するという途方もないものです。
世界を支配する力を持つ指輪をめぐって、神と英雄、それから神話上の生き物が争う物語なんですが、とくに有名な曲は二作目の『ワルキューレ』に使われる『ワルキューレの騎行』ですね。
映画やCMなどでよく使われていますので、聞いた事があると思います。

ヴェルディ

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フルネームはジュゼッペ・フォルトゥニーノ・フランチェスコ・ヴェルディ(Giuseppe Fortunino Francesco Verdi)、 1813年10月10日に今のイタリアのレ・ロンコーレで生まれた作曲家です。
「オペラ王」の異名を持ち、イタリア・オペラに変革をもたらした人物です。
よく知られているオペラは『リゴレット』『椿姫』『アイーダ』『オテロ』などが多数あります。
その中でも人気なのがオペラ『椿姫』、このオペラは娼婦と青年貴族が恋をする悲劇の物語ですが、その音楽には明るさ・華やかさ・力強さが表現されています。
オペラの中で歌われる、テノールによる有名な『乾杯の歌』やソプラノのアリア『花から花へ』、バリトンのアリア『プロヴァンスの海と陸』など、素晴らしい曲が続きます。
またオペラ『アイーダ』はファラオ時代のエジプトを舞台にした究極の愛の物語で、第2幕第2場で演奏される『凱旋行進曲』なども有名です。
この曲の中で使われるファンファーレ・トランペットは楽譜中に「エジプト風のトランペット」と指定されていて、「アイーダ・トランペット」と呼ばれています。

スメタナ

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フルネームはベドルジハ・スメタナ(チェコ語: Bedřich Smetana)、1824年3月2日に今のチェコのリトミシュルで生まれた作曲家でありピアニストです。
スメタナはチェコの独立国家への願望やチェコ民族主義と密接に関係する国民楽派を発展させた先駆者であると言われています。
最も知られているであろう曲は、交響詩『わが祖国』の中の第2曲『モルダウ』ですね。
『わが祖国』はスメタナの祖国であるチェコの歴史、伝説、風景を描写した作品で、スメタナは聴力を失いつつも6曲の交響詩を書き上げました。
『モルダウ』はチェコで最も長い川であるモルダウ川(モルダウはドイツ語で、チェコ語ではヴルタヴァ)の流れを描写しています。
『モルダウ』に歌詞を付けた合唱曲はいくつかあり、岩河三郎作詞『モルダウ』や平井多美子作詞『モルダウの流れ』などです。
歌詞は違っても、中学校で歌った覚えのある曲です。

ブルックナー

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フルネームはヨーゼフ・アントン・ブルックナー(Joseph Anton Bruckner)、1824年9月4日にオーストリアのアンスフェルデンで生まれた作曲家でありオルガニストです。
作曲家としては特に交響曲と合唱曲に力を注いで多くの作品を残しています。
また本人による曲の大幅な改定や、弟子による改定などで、複数の版が存在するのも特徴的です。
有名な曲としてはやはり交響曲なのですが、宗教合唱曲『テ・デウム』なども名曲です。
生涯を通じて敬虔なローマ・カトリック教徒であったブルックナーは、多くの宗教合唱曲を残しています。
『テ・デウム』はキリスト教の聖歌の一つで、“Te Deum laudamus”(われら神であるあなたを讃えん)から引用されています。
オーケストラと合唱、そしてソプラノ、アルト、テノール、バスの各独唱で構成されていて、力強く荘厳な響きを持つ曲です。
ブルックナーはこの曲を「全ては主の最大の誉れのために」というテーマで作曲しました。

ヨハン・シュトラウス

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フルネームはヨハン・シュトラウス2世(独: Johann Strauss II)、1825年10月25日にオーストリアのウィーンで生まれた作曲家です。
シュトラウス家は音楽一家で、父(ヨハン・シュトラウス1世)も高名な作曲家であり、また兄弟や親族からも作曲家が輩出されています。
ハン・シュトラウスはウィーンで広まった三拍子のウィンナ・ワルツや、チェコの民族舞踊であるポルカなどを多く作曲し、「ワルツ王」「ウィーンの太陽」などと称されました。
有名な曲は何と言っても『美しく青きドナウ』でしょう。
『美しく青きドナウ』は、元々はウィーン男声合唱協会の依頼で作曲した合唱曲であり、作曲後にアマチュア詩人による歌詞と、ハンガリーの詩人の作品から取った題名が付けられました。
この合唱曲をヨハン・シュトラウス自身が管弦楽曲として編曲しました。
オーストリアでは「第二の国歌」と呼ばれて親しまれています。

ブラームス

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フルネームはヨハネス・ブラームス(独: Johannes Brahms)、1833年5月7日にドイツのハンブルクで生まれた作曲家・ピアニスト・指揮者です。
バッハ、ベートーベンと共にドイツ音楽における三大Bと称されます。
有名な曲としては『交響曲第1番 ハ短調』や『ハンガリー舞曲』などでしょうか。
『ハンガリー舞曲』は最初はピアノ連弾のために書かれ、後にオーケストラ用に編曲されています。
ヴァイオリニストのレメーニの伴奏者としてドイツ各地に演奏旅行を行った際、レメーニからジプシー音楽(ロマの民族音楽)を教えられ、その旋律をもとにして『ハンガリー舞曲』を作曲したそうです。
エキゾチックな旋律がとても魅力的です。

サン=サーンス

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フルネームはシャルル・カミーユ・サン=サーンス(仏: Charles Camille Saint-Saëns)、1835年10月9日にフランスのパリで生まれた作曲家です。
音楽で優れた才能を発揮しながら、語学や数学にも秀で、さらに天文学で論文も書いている多彩な人物です。
有名な曲は何と言っても『動物の謝肉祭』でしょう。
『動物の謝肉祭』は全14曲からなる組曲で、中でも特に有名なのが第13曲の『白鳥』、チェロのソロが何とも美しい曲です。
第4曲の『亀』はオッフェンバックの『天国と地獄』をわざとゆっくりと演奏するように編曲したもので、とても面白い曲になっています。
また第7曲の『水族館』はとても幻想的な曲で、マンガの『のだめカンタービレ』にも使用されています。
サン=サーンスは『動物の謝肉祭』が他の作曲家の曲のパロディであることなどを理由に、完全にオリジナルである『白鳥』を除いた曲の自身の存命中の演奏・出版を禁じました。

ビゼー

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フルネームはジョルジュ・ビゼー(仏: Georges Bizet)、1838年10月25日にフランスのパリで生まれた作曲家です。
とても優れた作曲家ではありましたが、残念ながら存命中は大ヒットに恵まれませんでした。
有名な曲は、『アルルの女』から『メヌエット』と『ファランドール』でしょうか。
『メヌエット』はフルートとハープがとても美しいですね。
それからオペラ『カルメン』も外せません。
『カルメン』はタバコ工場で働くジプシー女が、衛兵の伍長ドン・ホセや闘牛士エスカミーリョに恋をして裏切る、情熱たっぷりの物語です。
物語の面白さもありますが、アリア『ハバネラ』『ジプシーの歌』『闘牛士の歌』『花の歌』などの名曲が次々と登場します。
ビゼーは36歳の若さで他界、『カルメン』の大成功はその後の話となります。

ムソルグスキー

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フルネームはモデスト・ペトローヴィチ・ムソルグスキー(露: Моде́ст Петро́вич Му́соргский)、 1839年3月21日にロシアのプスコフ州で生まれた作曲家です。
「ロシア五人組」の一人(他の四人は:ミリイ・バラキレフ、ツェーザリ・キュイ、アレクサンドル・ボロディン、ニコライ・リムスキー=コルサコフ)と呼ばれていて、ロシアの史実や現実生活を題材とした歌劇や風刺歌曲を残しています。
有名な曲としては、『展覧会の絵』や『はげ山の一夜』でしょうか。
『展覧会の絵』はロシアの画家であるヴィクトル・ハルトマンの死を悲しんだムソルグスキーが、彼の絵の展覧会を訪れて、そこで見た10枚の絵の印象を曲にしたそうです。
曲ごとに拍子が違うのは、展覧会で絵を見ながら歩いている歩調を表していると言われています。
また『はげ山の一夜』は、「聖ヨハネ祭前夜、禿山に地霊チェルノボーグが現れ手下の魔物や幽霊、精霊達と大騒ぎするが、夜明けとともに消え去っていく」というロシアの民話を元に作られたそうです。

チャイコフスキー

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フルネームはピョートル・イリイチ・チャイコフスキー(露: Пётр Ильич Чайковский)、1840年5月7日にロシアのヴォトキンスクで生まれた作曲家です。
クラシック音楽の中でも人気の高い音楽家であり、特に後期の交響曲やバレエ音楽・協奏曲などが愛好されています。
法律学校を卒業して法務省の文官として働き始めたチャイコフスキーは、働きながら音楽を学び続けて23歳で音楽家の道に専念したので、他の高名な作曲家に比べるとやや遅いスタートでしょうか。
特に有名な作品は、『ピアノ協奏曲第1番(作品23)』や、バレエ音楽の『白鳥の湖』『眠れる森の美女』『くるみ割り人形』などでしょう。
『白鳥の湖』は悪魔の呪いで白鳥に姿を変えられた王女オデットと、王子ジークフリートとの悲恋を描いた物語で、クラシック・バレエを代表する作品ですね。

ドヴォルザーク

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フルネームはアントニン・レオポルト・ドヴォルザーク(チェコ語: Antonín Leopold Dvořák)、1841年9月8日に今のチェコのネラホゼヴェスで生まれた作曲家で、ボヘミア楽派として民族主義的な表現の可能性を追求します。
また晩年にはアメリカへと渡ってネイティブ・アメリカンの音楽や黒人霊歌を吸収し、自身の作品に反映させています。
有名な曲としては、ドボルザークを一躍人気作曲家へと押し上げた『スラヴ舞曲集』、またアメリカ時代に作られた交響曲第9番『新世界より』などでしょう。
ドボルザークは熱烈な鉄道ファンで、『8つのユーモレスク』の第7曲は機関車の走る音をヒントに作曲されたと言われています。
『ユーモレスク』とは英語の「ユーモア」と同じ語源を持つ言葉で、「おどけた感じの小さな作品」といった意味になります。

サラサーテ

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フルネームはパブロ・マルティン・メリトン・デ・サラサーテ・イ・ナバスクエス(Pablo Martín Melitón de Sarasate y Navascuéz)、1844年3月10日にスペインのパンプローナに生まれた作曲家であり、ヴァイオリニストです。
作曲家としてもちろん高名ですが、ヴァイオリニストとしても一流で、10歳の時にはスペイン女王の前で演奏を披露するほどの腕前だったそうです。
サラサーテが演奏・録音した音源は今でも復刻されて残っています。
作曲家としてのサラサーテの有名な曲は、何と言っても『ツィゴイネルワイゼン』でしょう。
『ツィゴイネルワイゼン』とは「ジプシー(ロマ)の旋律」という意味で、ロマの音楽や当時の大衆音楽を題材として作られています。
劇的でありながら哀感を持ち合わせる、とても技巧的なヴァイオリン曲です。

フォーレ

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フルネームはガブリエル・ユルバン・フォーレ(仏: Gabriel Urbain Fauré)、1845年5月12日にフランスのパミエに生まれた作曲家であり、オルガニスト、ピアニスト、そして教育者です。
温厚、誠実、謙虚な性格として知られるフォーレ、有名な曲では歌曲の『夢のあとに』『月の光』、合唱曲の『ラシーヌ讃歌』『レクイエム』、特によく知られている『シシリエンヌ』などでしょう。
『シシリエンヌ』は『シチリアーノ』とも呼ばれ「シチリア風に」といった意味で、後期ルネサンスからバロック時代に流行した牧歌的で独特のリズムが特徴の音楽で、ゆるやかな8分の6拍子か8分の12拍子で作曲されます。
このバロック時代の要素を作品に取り入れて新しい響きを生みだそうとした、フォーレの時代の作曲家たちの努力の中で生まれました。

エルガー

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フルネームはサー・エドワード・ウィリアム・エルガー(英: Sir Edward William Elgar)、1857年6月2日にイギリスのロウアー・ブロードヒースに生まれた作曲家です。
作曲家として成功したのは40代になってからとやや遅めですが、晩年には蓄音機での自作曲の録音に取り組むなど、最新の技術の活用にも積極的な一面もありました。
有名な曲は『愛の挨拶』や『威風堂々』などでしょう。
行進曲『威風堂々』は1901年から1930年にかけて作曲された5曲(21世紀になって6曲目が補筆完成された)で、よく耳にするのはその中の第一番です。
第一番の中間部は表彰式のイメージがありますが、この部分だけを取り出して歌詞をつけた曲が『希望と栄光の国』という名前でリリースされ、イギリス国民にとって「第2の国歌」として定着するようになりました。

プッチーニ

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フルネームはジャコモ・アントニオ・ドメニコ・ミケーレ・セコンド・マリア・プッチーニ(伊: Giacomo Antonio Domenico Michele Secondo Maria Puccini)、1858年12月22日にイタリアのルッカに生まれた作曲家です。
宗教音楽家の家系に生まれたプッチーニですが、ヴェルディのオペラ『アイーダ』に触れてオペラ作曲家の道を歩みます。
有名な作品は、オペラ『ラ・ボエーム』『トスカ』『蝶々夫人』『トゥーランドット』などでしょう。
『トスカ』は画家カヴァラドッシと、その恋人で有名歌手のトスカの悲劇です。
ソプラノのアリア『歌に生き愛に生き』や、テノールのアリア『星は光りぬ』などが特に有名です。
『トゥーランドット』は結婚を拒むために難題を出すトゥーランドット姫と、名前の知れない王子の物語り。
テノールのアリア『誰も寝てはならぬ』もまた特に有名で、先ほどの『星は光りぬ』と合わせて「三大テノール」のコンサートにおいてよく歌われていました。

マーラー

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フルネームはグスタフ・マーラー(Gustav Mahler)、1860年7月7日に今のチェコのカリシチェで生まれた作曲家であり指揮者です。
マーラーの交響曲作品は大規模で複雑なものが多いにもかかわらず、世界中のオーケストラで演奏されています。
有名な曲では交響曲イ短調『大地の歌』でしょうか。
この交響曲の中の第3楽章『青春について』が某ウイスキーのCMにも使われているので、聞いた事がある方も多いのではないでしょうか。
マーラーの他の交響曲は交響曲第〇番という番号が付されているのですが、この曲には番号がなく、交響曲と歌曲の両方の性格も併せ持っている曲だと言われています。
『青春について』の明るく美しいテノール独唱が印象的です。

ドビュッシー

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フルネームはクロード・アシル・ドビュッシー(仏: Claude Achille Debussy)、1862年8月22日にフランスのサン=ジェルマン=アン=レーで生まれた作曲家です。
ドビュッシーの作曲の特徴は、長音階・短音階以外の旋法と、機能和声にとらわれることのない自由な和声法などにあり、また事物の幻想的なイメージを音で表現することに努めました。
有名な曲では交響詩『海』、ピアノ曲では『亜麻色の髪の乙女』『2つのアラベスク』『喜びの島』『月の光』などでしょうか。
『喜びの島』は画家ジャン・アントワーヌ・ヴァトーの作品「シテール島への船出」の影響を受けたとされる曲です。
シテール島は神話では愛の女神ビーナスの島とされていてます。
ドビュッシーも恋人との旅行中に『喜びの島』を作曲したそうです。

リヒャルト・シュトラウス

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フルネームはリヒャルト・ゲオルク・シュトラウス(Richard Georg Strauss)、1864年6月11日にドイツのミュンヘンで生まれた作曲家であり指揮者です。
「ワルツ王」ヨハン・シュトラウスとの血縁関係はないのですが、「あなたがあの『美しく青きドナウ』の作曲者ですか?」と尋ねられたという逸話があります。
有名な作品は、オペラ『サロメ』や交響詩『ツァラトゥストラはかく語りき』などでしょう。
『ツァラトゥストラはかく語りき』は、ちょっと古いですが映画『2001年宇宙の旅』で使用されていて、当時の映画やCMを見た人は覚えていると思います。
この曲はドイツの哲学者フリードリヒ・ニーチェの同名の著作にインスピレーションを得て作曲されました。

シベリウス

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フルネームはジャン・シベリウス(スウェーデン語: Jean Sibelius)、1865年12月8日にフィンランドのハメーンリンナで生まれた作曲家です。
フィンランドの最も偉大な作曲家と云われるシベリウスは、フィンランドの伝統や自然に根ざした作品の創作に力を注ぎました。
よく知られている曲は、なんと言っても交響詩『フィンランディア』でしょう。
『フィンランディア』の冒頭は金管楽器による重苦しい序奏でスタートし、そこに弦楽器とティンパニが加わり次第に緊張感が高まっていきます。
そして美しい合唱部分へ、この合唱部分は『フィンランディア賛歌』と名付けられ、「第二の国歌」と呼ばれて愛されています。
最後は力強いエンディングで締めくくられます。

ラフマニノフ

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フルネームはセルゲイ・ヴァシリエヴィチ・ラフマニノフ(露: Серге́й Васи́льевич Рахма́нинов)、1873年4月1日にロシアのセミョノヴォで生まれた作曲家でありピアニストです。
とても優れたピアニストで、作曲家とピアニストの両方で成功を収めた音楽家としてフランツ・リストと並び称される存在です。
ラフマニノフが作曲した曲で有名な『ピアノ協奏曲第2番 ハ短調 作品18』はマンガの『のだめカンタービレ』でも登場しています。
またドラマ『リバーサルオーケストラ』のエンディングテーマにも使われていますので、こちらの方が記憶に新しいかもしれません。
曲の冒頭はピアノ独奏によるロシア正教会の鐘の音を模した美しい和音で始まり、有名な主題へと移行します。

ホルスト

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フルネームはグスターヴ・ホルスト(Gustav Holst)、1874年9月21日にイギリスのチェルトナムで生まれた作曲家です。
イングランド各地の民謡や東洋的な題材を用いた作品、吹奏楽曲や合唱曲などを多く残しています。
舞踊家の伊藤道郎の依頼により、日本民謡の旋律を用いたバレエ音楽『日本組曲』を作曲しています。
有名な曲は何と言っても組曲『惑星』ですね。
『惑星』は7つの楽章からなり、それぞれに惑星の名前が付けられています。
その中でも特に『木星』の中間部「Andante maestoso」の旋律が有名で、様々なアレンジで発表されています。
平原綾香のデビュー曲『Jupiter』や、サラ・ブライトマンの『Running』などは記憶に新しいですね。

ラヴェル

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フルネームはジョゼフ・モーリス・ラヴェル(仏: Joseph Maurice Ravel)、1875年3月7日にフランスのシブールで生まれた作曲家です。
色彩豊かな曲を多く生み出しながら、古典的な形式美を守り抜いた作曲家でした。
有名な曲では何と言っても『ボレロ』、ムソルグスキーのピアノ曲を編曲した『展覧会の絵』、『亡き王女のためのパヴァーヌ』『マ・メール・ロワ』など、どれも素晴らしい曲ばかりです。
『亡き王女のためのパヴァーヌ』は「昔、スペインの宮廷で小さな王女が踊ったようなパヴァーヌ」という解説ですので、特定の女王に捧げて作られたものではないようです。
パヴァーヌというのは16世紀のヨーロッパで流行した行列舞踏のことで、二人で踊る落ち着いた威厳のあるカップルダンスだったようです。

ガーシュウィン

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フルネームはジョージ・ガーシュウィン(英: George Gershwin)、1898年9月26日にアメリカのニューヨークで生まれた作曲家です。
ジャズなどのポピュラー音楽やクラッシック音楽の両方で活躍しました。
兄のアイラは作詞家で、二人で共同で曲を作りました。
有名な曲は何と言ってもアリア『サマータイム』、オペラ『ポーギーとベス』の為に作られた曲で、ジャズ、ソウル、R&B、ポップス、ロックなどで幅広くカバーされています。
オペラ『ポーギーとベス』の冒頭で、生まれたばかりの赤ん坊に母親が歌いかけるブルース調の子守唄です。
もう一曲、『ラプソディー・イン・ブルー』も有名です。
ジャズとクラシックを融合させたこの曲は、日本ではマンガの『のだめカンタービレ』などで使用されてます。

※ このページで使用している画像は、全て「Wikimedia Commons」から引用しています。